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初めて出会った時から、ずっと。
もし良ければ、付き合ってほしい。
返事を待っています。
桜堂真珠 神宮寺大愛さんへ 』
私は、言葉を失った。
『好き』『付き合ってほしい』。
……これって。
これって……!
「告、白……?」
告白。
桜堂くんが、私のことを好き?
そんなの、あるわけ……。
だって、桜堂くんは、紫乃のことが好きでしょ?
紫乃も、桜堂くんのことが好き。
みんな、そう言っている。
こんな私のことを……?
っていうか、そもそも、私は、桜堂くんのこと好きじゃな……。
そこまで考え、思考を止める。
私、告白されたことを嬉しいと感じている。
私は、桜堂くんを、どう思っているの……?
私は、便箋を出して、書き込んだ。
『ごめんなさい。
付き合うことは、できません。
桜堂くんは、勘違いをしているんじゃないの。
桜堂くんは紫乃のことが好きだもの。
それがただの噂だったとしても、男子が私に恋をするなんて、あり得ない
もの。
もう一度、考えてみたら?
神宮寺大愛 桜堂真珠くんへ。 』
私は、家を出て桜堂くんの家へ向かった。
桜堂くんは、私の家の斜め向かい。
郵便ポストに手紙を入れ、家に戻る。
私は、桜堂くんに断った。
「それに、神宮寺さんは優しい。僕は、神宮寺さんが好きになったよ。」
「やめて!!!」
私はトイレに駆け込んだ。
「初めて、会った時も、トイレに逃げ込んだよね、神宮寺さん。」
後ろから、懐かしむような声が聞こえてくる。
私は個室に入った。
胸が苦しい。
今にもはち切れそう。
私は、桜堂くんのことが好き。
今、わかった。
でも、付き合ったら、だめ。
桜堂くんは絶対に後悔するし、みんなも『あんな神宮寺さん』と『素敵な桜堂くん』が付き合ったら、気分が悪いだろう。
これが、正しい道だ。
これが、最高の選択。
自分に言い聞かせ、教室に戻った。
放課後。
私はアクアと待ち合わせるため、昇降口へ向かう。
途中の階段で、
「神宮寺さん!」
桜堂くんが呼び止めた。
「しつこいかもしれないけど、本当に、僕は神宮寺さんが好きだよ。」
「桜堂くんの気持ちはわかったよ。でも、付き合えない。」
私が言った時、
「あ、ダイア!探したよ〜。」
アクアが階段を登ってきた。
「さ、行こ。早く行かないと、お母さん心配するよ。」
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