雪が降り積もるパール

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「あ、ごめんね。すぐ行くから……先、行っていてよ。」 「オッケー!」 アクアが階段を降りて行き、姿が見えなくなる。 「……僕のこと、嫌い?」 「そんなこと無い。嫌いじゃない。……私って、最低だもの。」 私は話した。 こんなに自分のことを『最低』って思える理由。 私は、ここから少し離れたB小学校に通っていた。 一年生の頃。 私は勉強を頑張って、成績はトップクラスになった。 クラスで学級委員を務め、代表もたくさんやるようにした。 その時は、人に褒められたり、人の前で話すことが大好きだったから。 一年生が終わって、校長先生から一年生全員分の終業証書をもらう係に指名された。 その時、私は全校生徒の前で、転んでしまった。 終業証書は一部破れたり、シワがついたりして、台無しになった。 そのことを揶揄われて、二年生になって、いじめられるようになった。 私は代表もやらなくなり、学校が辛くなって、M小学校に転校した。 新しい学校では、グレた。 宿題はやらないし、ノートも書かない。 遅刻して、怒られても気にしなかった。 クラスの嫌いな人に嫌がらせをして、その状態が三年生まで続いた。 家では、前と変わらない、普通の私を演じ続けた。 私がこんな最悪な性格だったことを、両親やアクアは知らない。 三年生の三学期、転校してきた女の子に、私はいじめられるようになった。 その子は転勤族で、四年生の夏休みに転校したから、いじめは無くなつた。 ただ、クラスで孤立していた。 私はグレるのをやめた。 やる気を出せば、勉強はあっという間にトップクラス。 代表をやったりはしなかったけど、一年生の時に戻ったみたいで、嬉しかった。 友達もできて、普通のどこにでもいる小学生になることができたんだ。 五年生になって、その喜びが無くなった。 私は勘違いで親友を傷つけて、それが元で友達がいなくなったから。 そのまま六年生になり、ここに引っ越してきた。 小学校を辛くした理由は、全部私の過ちだ。 あの時、転ぶなんてドジを犯したから。 あの時、グレて嫌な人になったから。 あの時、親友を傷つけたから。 だから、私は最低の人間なの。 中学校では普通の生活をしているつもりだけど、それでも人の悪口は言うし、中身は全く変わっていないと思う。 こんな私が。 こんな私が、素敵な桜堂くんと付き合うなんて、どうかしている。
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