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ピピピ…ピピピ…
「…ん…」
バンッ!!
勢いよく俺の部屋の扉が開いた。
「うあぁ゛!」
そして誰かが叫びながら飛び込んできた。
そのままそいつは俺の腹の上にダイブしてきた。
「ゔぅぅ…」
「いってぇなっ!毎日こんなんじゃ俺いつかストレスで死ぬわ!」
俺は苦いものを噛み潰したときに出る醜い声を出し、そいつに怒鳴った。そいつが顔をあげた。綺麗なその黒い瞳で俺を見る。
「なんでだよぉー!今日一緒に学校行くって言ったじゃん!!」
「朝からうるせぇよ…そんなにうるさいともう一緒に行かねぇからな?翔」
翔と呼ばれるこの男は俺の幼なじみだ。家が近いこともあって、小さい頃から毎日のように遊んでいる。いわば親友ってやつだ。
「うぅ…それはやだよぉ…」
嘆く親友を見て思った。情けないな…女子にはモテモテなのがなんで俺じゃなくてこいつなんだよ、と。頭はたいして良くもなく、運動だってできない。しかしこいつには女子にモテモテになる最大の武器がある。それは愛らしい顔だ。その顔で女たちを落としているという噂も流れたほどだ。悔しいが、俺もこいつの顔には惚れてしまっているのかもしれない。
あれこれ考えている俺を無視して泣き続けている翔を横目見てそう思った。
…だるいなー…あとどれくらい我慢すればこの現実から開放されるのだろうか。そんなことを考えながら俺は翔を無視して学校に行く準備を始めた。
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