1人が本棚に入れています
本棚に追加
「ねぇタカダくん、闇鍋と光鍋でバトルしようよ。負けたほうがお酒買ってくるってことで」
年末年始休暇も残り二日。僕は今日、魔法使い専門学校の頃の先輩であるミヤさんの家に来ている。
ミヤさんは独立したフリーランスの魔法使いだ。テレビドラマの撮影で魔法を使ったエフェクトをかけたり、カップルのデートのために天候を操作したりと、大小さまざまな仕事をしているらしい。いっぽう僕は、普通のサラリーマンをやりながら、副業で簡単な呪い破りを請け負っている。収入はもちろん会社の給料が九割。ミヤさんのように魔法一本で食っていくのは早々にあきらめた。
僕とは異なる生き方を選んだミヤさんだが、学校卒業後もなにかと面倒を見てくれる。引越しの手伝いをしてくれたり、一緒に飲みに行ったりしてくれて、今でも付かず離れずの心地良い関係を保っている。
今日もミヤさんに誘われて遊びに来た。相変わらずボロボロのアパートだけど、魔法で結界を張っているせいか、すきま風は入ってこず、暖かい。こたつのぬくもりを全身で味わいながらテレビを眺めていたところ、ミヤさんがいきなり鍋バトルを申し込んできた。
最初のコメントを投稿しよう!