超絶普通の春の日だけど

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さすがに今日はいないと思っていたのだが、百合はいつも通り公園のベンチで俺を待っていた。 藤澤百合は幼稚園の頃からの幼なじみだ。小中高(おそらく今後は大学も)までもが同じという奇跡の腐れ縁っぷりで、いまだに一緒に通学している。 幼なじみとはいえ、相手は異性だ。成長するにつれ、共通の話題も減っていく。さらに中学生になると、男女が一緒にいるだけで冷やかされてしまう年頃になってしまった。 そんな思春期真っただ中の中二の春、俺は百合に言った。 「あのさ、いまだに一緒に通学するの、おかしくないか?最近、変な噂されてるぞ」 「変な噂?」 おっとりとした様子で首を傾げる百合に、俺は恥ずかしさからややぶっきらぼうに告げた。 「だから、その、俺たちが付き合ってるとか、何とか。私立は出身がバラバラだから、俺たちが幼なじみだって知っている人も少ないしさ。誤解されるんだよ」
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