1人が本棚に入れています
本棚に追加
すると百合は、ちょっとだけ頬を赤く染めてこう返した。
「そうだったんだ…。だけど私、匠海君がいてくれたら心強いな。一人だと、危険な目に遭うかもしれないから」
女子にそんな風に言われて、一緒の通学を取りやめる奴は男ではない。
それに百合は、昔から文句なしの美少女であったので、確かに一人で通学させるのは心配だった。中肉中背の俺がボディーガードになれるかどうかは微妙だが、周りの野郎共への牽制にはなるだろう。
そんなこんなで一緒の通学を続けていたら、互いに恋愛とは無縁のまま高三になってしまった。
俺は地味で平凡な見た目と性格なので、百合との通学がなくても彼女はできなかっただろうが…。百合は引く手あまたなのに、誰からの告白も断っていたようだ。恋愛に興味がないのだろうか?もったいないよな。
そう考えていた昨日までの俺は、本当に大馬鹿者だ。
最初のコメントを投稿しよう!