消えちゃいましたね

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「あぁ…消えちゃったわね。」 「消えちゃいましたね…。」 「困ったわねぇ…。」 「はい…。」 「…。」 「…。」 午後七時を過ぎた頃。外は警報級の大雪が吹雪いていた。天気予報ではあと二時間後に降り始めると言っていたのに…。その影響により残業組の私達しかいないこの一室は停電により真っ暗になり、まるで他の世界と切り離されたかのように静かになった。PCの唸る音、キーボードを打ち込む音、暖房器具が一生懸命に風を送る音、普段は気にもとめていないけれど、それらがあると無いとではこんなにも世界は違うものなのか。 さぁ、こういうときはどうしたらいい?私が気を利かせて話をするべき?でもそういうラフな間柄でも無いし。同じ課で毎日過ごしている仲間の内ではあるけれどもその中でも一番と言って良いほどに話す機会が無い彼女とこんなときに限って二人きり。正直どんな子なのか全くわからないし年齢も離れているから共通の話題なんかも思いつかない。もういっそ何も話しかけない方が彼女も気を遣わないだろうか、そんなことを一人で考えていたときだった。静寂を破ったのは彼女の方だった。 「あの、実は佐田さんに相談したいことが あるのですが、よろしいでしょうか?」 驚いた。まさか向こうから話しかけてくれると思ってもいなかったので内心少しドキドキしながらも冷静を装った。 「どうしたの?仕事の話?」 「仕事の話…というか、そうじゃないというか…。 えっと、佐田さんはご結婚されてますか?」 「結婚?してるわよ。…あ、もしかして…?」 「はい、そうなんです、実は…」 「あらぁ〜、おめでとう!!いつ籍を入れるの?」 「あっ、えっと、そうではなくて…。えっと…。 言いにくいのですが、私、河島さんの不倫相手なんです。」 「えっ…!?」 まさかの告白に私は暗闇の中で凍りついた。
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