1. 危険の前触れ

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* ―ロンドン郊外、イズリントン。上条家の住居には賑やかな声が響いてきた。 「はーっ!!うめー!!やっぱ母さんの揚げた天ぷらサイコー!!」 エビの天ぷらと白飯を掻き込むや、和樹はそう叫んだ。 「…ここん所俺も和樹も全然寄れてなかったからな。にしてもお前よく食うよな」 和樹の隣に座り、小皿に盛った野菜の天ぷらを肴にカットグラスから日本酒をちびりちびりやっている智樹は呆れながら呟いた。 「んだよ、しゃーねえだろ。こちとら金欠なんだからよ」 「…こら、和樹。食べながらしゃべるのをやめなさい。いい年してみっともない」 咀嚼しながら喋る和樹をたしなめながら、二人の母である燿子は相伴に預かっていた。 和やかに夕飯を囲んでいた時、リビングで何気なくつけていたTVから流れていたBBCのニュースがふと耳に入ってきた。
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