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「…最近は女の人だけじゃなくて男もストーカーに狙われるらしいから、あんた達も気をつけなさいよ?」
食後にコーヒーと共に日本の友人から送られてきた羊羹を出しながら、燿子は息子達に念を押す。
ニュースは天気予報へと切り替わり、予報では週末は快晴となるらしい。
智樹はちょうど着信が入ったスマホを手に席を外し、ベランダに引っ込んでいった和樹の背を見送った後、ゆっくりとコーヒーに口をつけた。
「―大丈夫だって。伊達にガキの頃から剣道やってるわけじゃねえし、これでも腕っぷしはあるほうだから。むしろ母さんこそ気をつけないと」
そう言って羊羹をつまんだ息子に、燿子は眉を寄せた。
「…私は平気よ。納屋に畑用の農具があるし、いざという時は和樹もいるしね」
「―つっても肝心の警察官があの調子じゃ、どうだかな」
早くも二個目の羊羹に手を伸ばした智樹は、寒いにも関わらずベランダで鼻の下を伸ばして楽しげに話をする双子の片割れをガラス越しにジト目で見つめた。
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