神の思し召し

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同僚のN氏に連れられて職場から10分ほどにある中華屋の前に到着したのは13時を15分ほどまわった頃だった。N氏は友人に勧められたその中華屋に2週間ほど前に来ていた。ランチタイムは14時半までとなっていたので、前回は14時からの1時間休憩が始まるとすぐに職場を飛び出したのだ。しかし14時10分頃到着した時には、既に中華屋のシャッターは閉められていたそうだ。その日の昼休憩が終わり、職場に戻ってきたN氏は失意のどん底の表情を浮かべていた。 「どうかしました?」 私が尋ねるとN氏はため息をつきながら言った。 「中華屋、閉まってました。シャッターが降りていたんですよ。まだ営業時間内であるにも関わらず、ですよ。」 「え?」 私が驚くとN氏は笑って言う。 「おかげで今日のランチはおにぎりですよ。中華、食べたかったのに。」 今度は一緒についてきて下さい、というN氏のリクエストに応えて今回私も出向くことになった。今度はお互いに13時から1時間の休憩を取り、万全を期した。道中雨が降り出し、不吉な気分にさせるが、 「今日は食べられるかなぁ。」 というN氏に 「時間にも余裕があるし、大丈夫ですよ。」 と私は励ます。 中華屋のシャッターは閉まっていなかった。店の前に掲げられている美味しそうなメニューに舌鼓を打つ。テンション高く地下の入り口へと続く階段を下りていく。意気揚々と店に侵入した私達の前に店長らしい男性が立ちはだかる。 「すみません。終わりなんですよ。」 店長が言うと私達は同時に 「え?なんで?まだ営業時間内じゃ・・」 店長はすまなそうに言う。 「今日は来客が多くて材料が切れちゃったんですよ。申し訳ございません。」 すごすごと店をあとにする二人。この界隈ではランチは早く取った方がいいらしい。ランチが終わると早々と店を一旦閉め、ディナータイムの再開に備える店が多いようだ。そこから開いている店の再リサーチが始まる。すると・・あった。もう一店舗開いていそうな中華屋を発見した。もう食べられればいい。私達は急遽その店に直行した。雨に濡れてびしょ濡れになりながら走る。そして店は・・シャッターが既に下りていた。 「もう弁当屋でいいや。」 N氏の提案で職場近くの弁当屋にUターンする。すると今度は臨時休業の札が出ていた。 「もうコンビニのおにぎりでいいや。」 と、職場の隣のコンビニエンスストアに入ると、美味しそうなおにぎりが陳列されていた。さすがコンビニだな、と思っているとN氏がボソッと言った。 「どうします?あと5分で昼休憩終わります。食べている暇ないです。」 どうやら神は我々にダイエットを求めているようだ。びしょ濡れになった我々は、そのまま仕事を再開した。そしてその後体調不良になり、二人仲良く早退した。どうやら神は病院行きをも求めているようだった。
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