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私はおもちゃ以下ですか
礼は大事そうに白い箱を取り出した。
「これが、スピリットエッグ……」
緋色のクッション材を貼った白い箱の中に収められていたのは、掌で包み込めるほどの大きさの、真珠色の球体だった。
それは卵というより宝石のように見えた。
「触ってごらん」
「……触っていいの?」
頷く礼に、促されるように手を伸ばす。
「あっ」
思わず声が出た。
温かくやわらかい。そう聞いていたがこれは。
間違いなく生き物の感触だ。
「すごいだろう?」
礼は目を細め、優しい手つきで明日香の手から卵をとると、目の前の高さまで持ち上げた。
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