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期待に満ちた目で明日香を見る礼は、得意そうに目をきらきらさせている。
何か言わなければ。
明日香は言葉を探した。
「生きているおもちみたい」
「生きているおもち!」
礼は声を立てて笑った。子供みたいに、無防備に。
「そんなに笑わなくても」
油断し過ぎた、つい本音が出てしまったと頬が熱くなる。
ようやく値段の張るホテルのレストランで平然とワインリストを広げることだってできるようになったというのに、これじゃあいつになってもの「馬鹿話ができる幼馴染」のままじゃないか。
「明日香って本当に食い意地が張っているな」
「礼が偏食すぎるだけでしょ」
「こだわりがある、と言ってもらいたい」
「はいはい、ものは言い様ですね」
わざとつっけんどんな言い方をしたのに、全く気に留める様子もない。
新しいおもちゃに、夢中なのだ。
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