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もしも今、私がスピリットエッグを手に入れたら、と明日香は考える。
きっと邪悪なものが生まれるだろう。
礼は怖くないのだろうか。
自分がのめりこむように育てたものからどんなものが生まれてくるのか、わくわくと純粋な心で待っている彼をあきれるような羨ましいような気持ちで思う。
たぶん、礼のそんなところが。
明日香の足が止まる。
そんな礼の心から生まれたものなら、好きになるかもしれない。
生まれなければいい。
生まれてきたものをこの目で見たい。
相反する気持ちを抱えながら、それでもきっとまた自分はあの部屋に行くのだろうと明日香はわかっていた。
何度だって回ってやる。
いくらだって吠えてやる。
それで手に入るのなら、望むものになれるなら。
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