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でも私だって一人ぼっちだった訳じゃない。
『トモダチ』はいたんだ。小学校のとき話しかけられて、ずっとなんとなく同じグループを組んでいた人達がね。
楽しかったよ。一緒にいてお泊りとかも行ったし。
でもね、それって別に私である必要がなかったと思うんだ。あの時たまたま話しかけられたのが私だっただけでさ、そこに座っていただけでさ。
そのグループに必要だった私は、会話に合わせられて、同じものに興味を持っている風の存在だった。当然それは私の好きなものではなかった。
なんかトモダチ共通の好きなYouTuberがいてさ。
私達はそいつらが動画UPするたびに見なきゃいけないんだ。
苦痛だった。つまんないんだ、コイツら。
一応話について行くためにチャンネル登録もした。だから通知が来るんだけどさ、それが苦痛で苦痛で。うわ来たわ、みたいな。
私には、ちゃんと自分で見つけた好きなものがあった。
有り体に言えばボカロP的なやつ。音楽とイラスト。
ちゃんと周りに言えば良かったけど、なんか雰囲気が異なりすぎていて言えなかった。
トモダチと見る可能性があるスマホのアカウントとは、分けてチャンネル登録してたくらい徹底して隠していた。好きなものと、本当の私を。
それをちゃんと知っていたのは妹くらいかな。あとTVのYouTube占領してた時あるから、親も知ってたろうね。
生意気だけど言ってみれば妹は真の友達だったのかも知れない。まあそれ以前に家族だけどさ。でも妹も親も私の救いだったことは間違いない。理解してくれたことに感謝してる。そういう存在すらいない人だっているだろうから。
――ある日、決定的な出来事があった。
私はその日の私に言ってやりたいんだ。
当時の私にとって特別な一日。今の私にとっても特別な一日。
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