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「やっぱ、あの瀬戸伊万里さんだったかー。でも、だいぶ印象変わりましたね。その立派な顎髭、俺の記憶の瀬戸さんと違いすぎて、名前聞かなかったら、すぐにはわかんなかったっすよ」
しかし、伊万里の脳が記憶を辿るより先に口を挟んできた他者によって、その作業は終了させられた。
「俺、前に瀬戸さんとお会いしたことあるんですよ。えーと、ちょうど十年前です。俺が中一の時で、場所は……」
「信州、椿高原スキー場の陶芸スクール、だろ?」
「あっ、そう! そうですっ」
全開の笑顔を返してくる青年に口元を緩ませた伊万里は、先ほど中断した思考の動きを高速で再開した。
「時期がちょうど十年前で、陶芸スクールの件だけでなく、俺の蕎麦打ちの腕前について君が言及したことで、すぐにわかったよ。芳野くん、君、東京の祥徳学園の出身だね?」
「そうです! その通りです。合ってます。バッチリ正解ですーっ!」
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