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そのとき、窓から差し込んだ朝の光に、ティルミルの右の上腕がキラリと光った。
ティルミルのボディーは白く塗装されているが、所々鏡面仕上げの部分がある。上腕には十五㎝幅の帯状の金属が、外側から内側に向かって下るように露出していた。
ラッキー! 鏡の代わりになるわ。
ティルミルの腹部から光線が発射される寸前に、アリスはティルミルの腕の金属に飛び移った。
ティルミルの光線が鏡に当たり、昨夜と同じように顔のディスプレイに科学記号と数字が並んだが、当然のことながら、異常はみられない。
ティルミルがレンズをボディーの外まで伸ばして左右に振り、辺りを丹念に探り始めたとき、レンズが真横を向いた。
光線がティルミルの右腕に当たった途端、顔のディスプレイが点滅して、生命反応があったことを知らせる。
ティルミルは頭部のディスプレイに顔のパーツを戻し、「アリスちゃん、いた」と言いながら、アリスを見ようと勢いよく右をむくものだから、キャスターが回転して、ティルミルがくるりと旋回する。
まるで尻尾を追いかける犬のように、ティルミルはその場でくるくるくるくる回り出した。
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