いたずら好きのアリス

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「ご主人様。一瞬右の腕に危険な波動を感じたのですが、アリスちゃんは私に憑いて離れないのでしょうか」 「う~ん。そうだな。鏡を壊そうとしなければ、支障はないらしいから、そのままでもいいんじゃないか?」  ティルミルの口がへの字に変わった。言葉の代わりに、機械音のボリュームをあげて抗議をしている。  まるで人間みたいだとアリスはおかしくなった。 「そう怒るな。昨夜は祖母のケイトの体調が良かったから電話で聞いてみたんだが、ケイトが鏡同盟の仲間の一人から鏡を譲り受けた時も、部屋に異変があったらしい。ようは鏡を付け替えたときに起きやすく、暫くすると普通の鏡と変わらなくなる。それでも気になる者は、使っていない部屋に保管するか、六人の同盟者の誰かに譲るらしい。俺のように第六感を持ち合わせた者は、最初から最後まで鏡の中に気配を感じたりするそうだ」 「ご主人様、鏡同盟とは何ですか? オカルト信者の集まりなのでしょうか?」 「ははは……まさか、科学者の俺がオカルト信者からいわくつきの物を譲り受けるはずがないよ。祖母も非科学的なものに対しては懐疑的な医師だった。鏡同盟はケイトの母、つまり俺にとっては曾祖母にあたる人が、他の仲間たちと結んだ同盟なんだ。同盟を結んだ者たちは子孫が続く限り、ずっとこの鏡を護らないといけないらしい」
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