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ティルミル?
男の理想を詰め込んだ感じのこの人が、ロボットにつけた名前がティルミル?
なんか響きがかわいすぎ!
かわいいといえば、男に認められたことが嬉しいのか、ティルミルが顔文字のような顔をぴかぴかと光らせて胸を張る仕草が子供のようで、おかしさが込み上げる。
ププッと笑ってしまった鏡の中の私を、さっと振り返った男が訝し気に覗き込んだ。
「やはり、何か気配を感じる。逸話を信じたくはないが、ティルミル。鏡の中を透かして見てくれ」
ティルミルと呼ばれたロボットの胴体の胸のあたりが横に開き、中からカメラのようなレンズが現れる。その上に設置された突起から光線が放たれて、ミラーに伸びてきた。
ティルミルの頭部ディスプレイから顔が消え、科学記号や数値が羅列される。それらに目を走らせた男が、苦笑を漏らす。
「ティルミル、すまない。言葉が足りなかったな。素材ではなく本来は鏡に含まれていないよううな物が仕掛けられていないかを探ってくれ。盗撮機とか盗聴器とか、俺の行動を誰かに伝える手段のものだ」
「そういうのは見当たりませんが、何か奇妙な反応が……」
ヤバい! 私はすぐに鏡から飛び出して、鏡のある壁と直角に交わる壁にはまった窓の方に居場所を変えた。
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