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かしこまりましたと言いながら、ティルミルは胴体から突き出たレンズを中に引っ込め、両側に開いた扉を閉じて、カプセル型のボディーに戻った。
「ご主人様がお留守のときに、この部屋を中心にしてレーダー探知機であれを探ることにします」
あれって何? 私のこと?
ムッとした私は、思わず窓を震わすところだった。
あぶない。あぶない。
そんなことをしたら、まだ私がいるって確信したわけじゃないあの人とロボットに、私の居場所を教えてしまうじゃないの。
それにしても、生命の電気信号を感じるなんて、すごくない?
丸みを帯びたかわいい感じの、いかにも人畜無害のペットのようなロボットだけれど、中身は最先端なんだわ。
気を付けなければいけないのは、ロボットだけではなく、最初に気配を感じたこの男性にもだけれど……
私が、ちらりと男の顔を見た時、男は思いがけないことを言った。
「ティルミルは生命の電磁波をキャッチできるのか。本当に優秀だな。それなら生命を『あれ』と呼ぶのは、あまり相応しいとは思えない。そうだ、名前をつけてやらないか。気に入れば姿を現すかもしれないぞ」
ティルミルは、そんなことが起こりうるのかどうかなのか、答えようがないようで、ディスプレイに表示された顔が困り顔になっているのが微笑ましい。
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