第一章 現れた女

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 俺より三つ下で、現在はこのアパートの近くの女子大に通っている。出会いは、当時の友達が意気揚々として『女子高生と遊ばないか?』と持ってきた合コンが切っ掛けだった。しかし第一印象は、地味な女、であった。それは今でも変わらない。だが、ルックスがどうというわけではない。人並みに化粧はするし、髪もショートだが流行りのカットをしている。ブサイクと言うわけでもなく、どちらかと言えばカワイイ部類に入ると思う。じゃあどこが地味なのか?、と言われれば、うまく言えないが、醸し出している雰囲気そのものが地味なのだ。どんなクラスにも一人は居る目立たない女子、という感じだ。質問されれば答えるが自分からはあまり喋らないといった無口な感じが余計に俺に、地味な女、というイメージを植え付けさせたのかもしれない。そんな女とどうして付き合い始めたのかと言えば、合コンしたその日に居酒屋から二次会のカラオケボックスに移動しようとした時、二人きりになる時間が出来たから酔いに任せて何となくラブホに誘ったのだ。したらバカみたいにヒョコヒョコと付いてきた。それからもう三年にもなる。  だが、同棲しているわけじゃなく、今日は、たまたま泊まっていただけだ。  ノリコは、ノッソリとした足音で俺の背中に近づいて来る。そんな気配に気づいた俺は振り返りつつ、どうしたもこうしたもねえよ、と言おうとした。  が、最初に口をついて出た言葉はこんな怒鳴り声だった。 「テメエ、なんて格好してんだよ!」  寝ぼけているとはいえ、ドアが開いている事に気づかずノリコはパンツ一枚で出てきたのであった。 「あっ、ドア開いてたんだ」  ノリコは、今気づいたように慌てて奥に引っ込んでいった。
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