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私は、トモヤの目をジッと見つめて尋ねました。
「ねえトモヤ、何かあったの?」
トモヤは、私から目を逸らし、カップの中のコーヒーを虚ろに見つめながら答えました。
「ああ、そうだな、何だか色々とありすぎたな……精神科の先生には変なこと言われるし、上司とは喧嘩して会社クビになるし……」
「違う違う、そういうんじゃなくて、もっと根本的な何か」
トモヤは顔を上げ、不思議そうに言います。
「根本的な……? 言ってる意味がよく分からないよ」
「だから、何て言っていいかよく分からないけど……つまり、今のトモヤは普段通りじゃないって言うか……私の知っているトモヤじゃないみたいなの」
するとトモヤは、またカップのコーヒーを虚ろに見つめながら答えました。
「そんなの、ノリコの考え過ぎだよ……」
「本当、本当に私の考えすぎ?」
「そうだよ……」
「それならいいけど……でも私、田村さんって人から会社での出来事、聞いちゃったから……」
そういうと同時にトモヤは、
「田村から……?」
と、突然のように低くこもった声で顔を上げました。
「うん……何だかトモヤ、普通じゃなかったって……」
そう言った途端でした。
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