第二章 ノリコの憂鬱

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 私は、トモヤの目をジッと見つめて尋ねました。 「ねえトモヤ、何かあったの?」  トモヤは、私から目を逸らし、カップの中のコーヒーを虚ろに見つめながら答えました。 「ああ、そうだな、何だか色々とありすぎたな……精神科の先生には変なこと言われるし、上司とは喧嘩して会社クビになるし……」 「違う違う、そういうんじゃなくて、もっと根本的な何か」  トモヤは顔を上げ、不思議そうに言います。 「根本的な……? 言ってる意味がよく分からないよ」 「だから、何て言っていいかよく分からないけど……つまり、今のトモヤは普段通りじゃないって言うか……私の知っているトモヤじゃないみたいなの」  するとトモヤは、またカップのコーヒーを虚ろに見つめながら答えました。 「そんなの、ノリコの考え過ぎだよ……」 「本当、本当に私の考えすぎ?」 「そうだよ……」 「それならいいけど……でも私、田村さんって人から会社での出来事、聞いちゃったから……」  そういうと同時にトモヤは、 「田村から……?」  と、突然のように低くこもった声で顔を上げました。 「うん……何だかトモヤ、普通じゃなかったって……」  そう言った途端でした。
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