一日、毎日

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 カレンダーに大きく丸がつけてある。今日の日付はそれだけで、明日の日付は花丸で、明後日の日付はまた大きな丸だ。それをつける彼女は全部把握しているらしいけれど、僕は正直花丸がつくような日を覚えるだけで精一杯だ。毎日毎日何かしらの記念日で、花丸をつける日は僕たち二人の大きな記念日。それこそ付き合えた日とか、まあ色々。僕は花丸だけ祝えば十分だと思っているのだけれど、彼女にとってはそうではないらしい。別に丸がついているだけの日なら彼女が一人で祝っているだけで僕に何か強制するわけではないからいいかもしれない。けれど一人で祝っている彼女を見ると僕も何かをしたくなる。そういう時につい今日は何の日なのか聞いてしまう。「前も言ったけど」ああ、これが苦手なんだ。  僕は悪くない、と思うし多分誰かに相談してみてもそれは肯定されるだろう。けれどそうじゃなくて、僕は多分どちらも許せないだけなんだ。前も言ったと言う彼女のことも、それを覚えていられない僕のことも。多分前も言ったけどの一つだけ、それだけなければ僕は何も問題はないんだけれど、それを言わないでほしいなんて彼女に我慢させるのは違うと思う。だって僕が覚えられていないというのは事実だから。僕が手帳に書いておくために聞けば、それを最後にできるだろうか。いや多分無理だろうなと思う。だって僕は手帳を見る前に聞いてしまうだろうから。
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