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「ホッとしたよ。本当にありがとうな。後はしっかり寝て、早く治すわ」
「ああ、ごめんなさい。私、長話しちゃいました」
「いや、一人で寂しかったし、嬉しかったよ。こっちこそ、ごめんな。代返までして貰って。復活したら、ちゃんと話聞くから……」
「これで具合悪くなっちゃったら、私のせいですね。看病に行きましょうか?」
唐突な申し出に、一瞬頭が真っ白になる。
「いやいや、それは……」
「だって、このまま先輩が孤独死、なんてなったら私の努力が無に帰ります」
「いや、そう簡単に死なないだろ」
さっきまで孤独死を考えていたのは秘密だ。
「遠慮なく。私、今日の授業は終わりましたから」
「いや、そうじゃなくて……」
「何か欲しいもの、ありますか?」
「え、いや、特には……」
「分かりました。何か適当に買っていきます。寝ててくださいね」
「ちょ、おい、名護……」
電話は切られ、折返してもつながる気配はなかった。
「あいつ、マジか……。ていうか、俺の家、知ってんのか」
その疑問の答えは、すぐに分かった。
スマートフォンにメッセージが届いたのだ。
「先輩の家ってどこでしたっけ?」
「だよな……」
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