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「仲良さそうに見えたんだけどな」
一瞬きょとんとした後、慌てたようにパタパタと手と首を振る。
「え、ええ!? そんな事ないですよ。やだ。なんでそんな事言うんですか?」
「だって、笑顔で喋ってたじゃないですか」
「ちょ、どんだけ見てるんですか。別にそんなんじゃないですよ。英語のクラスで一緒の子なんですけど、なんかご飯行こうとか言ってくるし、困ってたんですからぁ」
忙しい身振りを交えつつ、そう言って話す彼女の頬は何ととなく赤みがかっているように見えた。
何をそんなに必死になっているのか。
それではますます誤魔化しているように見えるじゃないか。
本当にそうかな? 考えようとして、まるで纏まらない事に気付いた。
「行くのか、飯?」
「い、行かないですよ。私がそう言うの苦手だって知ってるでしょう? ほんとに、やめてくださいよ」
名護の目が俺を睨んでいるように思えた。
図星だったのか、あるいは本気で怒っているのか。
瞬間、どうでも良くなった。
「行けばいいじゃないか。いい男っぽかったし」
「先輩、何でそんな事……。なんか、今日の先輩変ですよ?」
「そうか? 今の名護程じゃない。あんなに話しかけられて嬉しそうに……」
「止めてくださいってば!! 怒りますよ!?」
「なんで、図星だから?」
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