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言った瞬間、すぱぁんっ、と小気味良い音が響いた。
一瞬遅れてやってくる頬の痛み。
右手をフルスイングさせたらしい名護の目には涙が浮かんでいる。
痛みとか涙とか、そんなものが俺の意識を急速に覚醒させた。
しくじった、と思った時には手遅れ。
「あ……その……」
とりあえず声を出した俺の目の前で、名護は踵を返し、そのまま小走りで去っていった。
後に残される間抜け一人。
当然のように人目はこちらに収束しているわけなのだが、それすらどうでもいい感じで俺はしばらくそこに突っ立っていた。
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