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翌朝。
目を覚ましてすぐに、状態が最悪であることを感じた。
全身が鉄の塊のように重い。手足の指先は、氷付けにでもなったかのように冷たい。
天井がぐるぐる回ろうとするので、体を丸めて目を閉じた。
熱はどれぐらいあるんだろう。枕元においておいた体温計を布団の中に引っ張り込んで脇に挟む。その冷たさは尋常ではなかった。どうやら、相当熱はあるみたいだ。
上半身をどうにか起こして水を一口飲む。
薄暗く、埃っぽい部屋。洗濯物は干しっぱなしだし、シンクに洗いものも残ってる。ついでに言えば、裸のお姉さんが出てくるDVDが転がってたりもするが、今は全くときめかない。
電子音が鳴った。体温計を引っ張り出してみると、三十八度七分まで熱は上がっていた。
恐るべし、お風呂効果。
再び布団の中に潜り込んで目を閉じる。全身が震える程に寒い。
今日の授業、何だっけ? 卒業に関わっていませんように。
そんな事を思いつつ、やがて俺の意識は再び眠りの世界へと落ちていった。
夢を見た。
俺は正義の使者で、世界の平和を護るために悪と戦っていた。
襲い来る悪を退け、卑劣な作戦を暴く。
当然俺は狙われる日々。安息はなかなかやってこない。
そんな俺をサポートしてくれる相棒、名護美津那。普段はサポート専門だが、いざという時には隣で戦ってくれる頼れる相棒だ。
ある時、彼女が悪の組織に捕らわれてしまう。
俺は無我夢中で飛び出す。許さぬ。僕の大事な人にまで手を伸ばすとは。
今こそ、本当の力を解放するときが来た。待っていろよ名護、今助けに行く。
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