1人が本棚に入れています
本棚に追加
目が覚めた。薄暗い部屋の中、静かに時計の秒針だけがコチコチと小さな音と共に時を刻んでいる。
相棒も、ロマンスも、敵も、何もない。
名護もここにはいない。いるはずがない。全ては夢。
薄暗く、埃っぽい部屋の中にいる自分が、果てしなく孤独に思えて泣きそうになった。
DVDのお姉さん達とは意思の疎通など図れようはずもない。
寂しさが俺を押し潰そうとしている。この体の重たさの半分は、寂しさのせいではないのか。
どうしよう、このまま二度と起き上がれなかったら。風邪なんかじゃなくて、もっと酷い病気だったら。誰にも気付かれないままで死ぬのかな。誰が悲しんでくれるんだろう。名護は悲しんでくれるだろうか。悲しんでくれるはず無いか、酷い事言ったし。
ふと時計を見ると、お昼を回っていた。今頃、多分昼飯を食べているんだろうな。
俺が大学を休んでいること、どう思っているんだろう。
いや、気付いてすらいないか。
スマートフォンには誰からの連絡も届いていない。
どうでもいいニュースや動画サイトの告知なんかが届いているだけだ。
俺がいない事なんて誰も気付いていない。あるいは誰も気にかけちゃいない。
何であんな事言っちゃったんだろう。俺のことをあんなに慕ってくれてた後輩に、俺は何であんな酷いことが言えたんだ。
謝りたい。
できることなら許して貰いたい。
ああ、死にたくないな。
もし死ぬならば、せめてその前に彼女に謝りたい。
彼女に土下座で謝って、その姿勢のまま息絶えたい。
そう思いながら、目を閉じた。
最初のコメントを投稿しよう!