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せぴあ館 桜小町へようこそ。 ~秘密のお茶会~
西の茶店
せぴあ館 桜小町。
なだらかな坂の上に建つ、和洋折衷の不思議な館。
色褪せた記憶のような、セピア色の風景。
差しこむ光に白くけぶる、少し埃っぽい店内。
古臭い香りの中に懐かしさが垣間見える、使い込まれた古道具。
店主の好みのクラシックレコードが静かに流れる以外、時を知る術はない。
時折気に入った客には、趣味で入れた茶を勧める。
着流しの大島紬に、いなせなゆかた。
長身の映える滑らかなシルクシャツ。
その日の気分で和装も洋装もさらりと着こなす細い四肢。
赤みがかった長い髪を絹のリボンでゆるく結い、インテリ眼鏡の奥で静かに微笑む。
店主の名は架暁。
性別、年令は、本人も知らない…。
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