巡る一日

一時。
　恐ろしい夢を見て、目が覚めた。死ぬかと思った。

二時。
　寝ていて、突然心臓が痛くなった。死ぬかと思った。

三時。
　寝ていて、ベッドから落ちた。死ぬかと思った。

四時。
　寝ていて、。死ぬかと思った。

五時。
　寝ていて、飼っていた蛇が首に巻き付いた。死ぬかと思った。

六時。
　寝ていて、家が火事になった。死ぬかと思った。

七時。
　歩いていて、車が飛び出してきた。死ぬかと思った。

八時。
　料理をしていて、包丁が違うものを切った。死ぬかと思った。

九時。
　遊んでいて、野球で振ったバットが頭にあたった。死ぬかと思った。

十時。
　泳いでいて、プールで足が動かなくなった。死ぬかと思った。

十一時。
　給食を食べて、おなかが痛くなった。死ぬかと思った。

十二時。
　一日の折り返し。

十三時。
　誰かが、スープに毒を入れた。死ぬかと思った。

十四時。
　誰かが、水の中で足を引っ張った。死ぬかと思った。

十五時。
　誰かが、バットを頭に叩きつけた。死ぬかと思った。

十六時。
　誰かが、包丁で首を切った。死ぬかと思った。

十七時。
　誰かが、車を体にあてた。死ぬかと思った。

十八時。
　誰かが、家に火をつけた。死ぬかと思った。

十九時。
　誰かが、首に縄をかけた。死ぬかと思った。

二十時。
　誰かが、濡れたタオルを口に入れた。死ぬかと思った。

二十一時。
　誰かが、高いところから落とした。死ぬかと思った。

二十二時。
　誰かが、心臓を握った。死ぬかと思った。

二十三時。
　「思った」ことは現実になった。

零時。
　時間は巡る。