エピローグ

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エピローグ

 先月、清川孝一は警官姿で金倉マリエと山野友美に次々と接近した。  彼女らも警官だと思い、清川を信用してついて行ったのだろう。  頃合いを見計らって静かな山中へ連れ出し彼女たちをナイフを使って刺殺したのだった。  その後、マリエと友美の遺体に青い口紅でオーバーリップをして、紅いレインコートを着て現場を逃亡したように見せかけたのだ。  さらに事前に行方を突き止めておいた平裕矢を真犯人に仕立てる偽装工作をし、青酸カリを飲ませて自殺したように見せかけたのだった。  事前に青酸カリも彼のスマホから取り寄せたように仕組んだが、まさか自分で『すまなかった』と書いたとは思わなかった。  小学校時代、平裕矢も清川の虐待に加担してリストカットするまで追い込んだのだ。  今になって、清川に謝罪したかったのかもしれない。  偽装は成功し、平裕矢は『ブルーキス』の真犯人として書類送検され、被疑者死亡で事件は幕を閉じたのだった。 「……」  清川孝一は静かに防犯カメラのデータを消去した。  やがて清川はゆっくり立ち上がりニヤリと微笑んだ。  まるで紅いレインコートの女のように。  THE END
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