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「ッ、あの……っ!」
「はい、何か……?」
昼下がりで店員さん以外誰も居ない店内で、私は食ってかかるようにレジのお姉さんに声を掛ける。
「ここ……その、こんなこと聞くのも変かもしれないですけれどっ……カフェじゃなかったでしょうか?」
声を掛けたはいいが、尋ねる内容があまりにも突飛がなさすぎるということには質問してから気づく。
パン屋じゃなくてカフェじゃなかったですかなんて――そんなこと。
しかし、お姉さんは一瞬驚いたように目を丸くして、
「生憎、このパン屋はここで両親がずーっと続けてるパン屋なんですよ。建物は変わってしまいましたけれど、創業してもう四十年を超えます」
「そ、そうなんですか……」
創業四十年。そんなに長い間、ずーっと続けてきたパン屋なら私の完全な思い違いだ。
がっくりと肩を落とし、うなだれた。
そんな私を見た店員のお姉さんはくすくすと笑う。
何? 確かにトンチンカンなことを聞いたのは私だけれど――笑うことないじゃない。
ムカッと眉間に皺を寄せる私。
そんな私の姿を見ても、お姉さんはそのまま続けた。
「でも、たまにそういう事を質問してくる方がいらっしゃるんですよね」
「えっ……そんなことってあるんです?」
「たまに……そう、一年に一回くらいの頻度でね。最初は変だなぁと思ったけれど、あまりにも多いのであんまり気にしないようにしたんですが……」
お姉さんは私に顔を近づけて、
「暇だし、よかったらちょっとお話聞かせてくれない? コーヒーも淹れるからさ」
パチンッ、とウインクをする。
可愛いお姉さんに私はこくんと頷いた。
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