危険信号~初音視点~

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 視界が悪くて顔をしかめてしまう。  帰りに直しに行こう。  紙コップを捨てようと振り返るとそこに田神がいた。ドキッとすると同時に身体が強ばった。 「こんなところで襲うわけないだろ」  小さな声で私だけに聞こえるように呟いた。  そしてスッとその場を離れていった。  あいつには気を付けよう……。  昨日は酒の匂いがしていた。酔った勢いもあったのかもしれないが、今後は2人きりにならないように気をつけよう。  昼前には撮影が終わり、ロケ先で配られた弁当で昼食を済ませると潤を車に乗せて事務所に帰った。  事務所に潤を降ろすと眼鏡屋に寄って眼鏡を直してマンションに帰った。車を駐車場に停めてエントランスを抜けてエレベーターに飛び乗った。  早く空也に会いたい。  昨日あんなことがあったせいだろうか、いつもより会いたい気持ちが募る。  昨日は結局一睡もできなかった。  朝までベッドの中で丸くなって時計の音を聞いていた。  鍵を開けて中に入る。 「ただいま帰りました……」  リビングから空也がやってくる。 「お帰り」  靴を脱ぐのもまどろっこしい。 「空也っ……」
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