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エピローグ・翻弄されて~空也視点~
青白い顔色を見て少しだけ後悔する。
少し無理をさせすぎた……というか……やりすぎた。
意識が途切れ途切れになって、それでもイカせた。
初音が寝てなかったことを失念していた。
身体を綺麗にして下着を着せて寝間着を着せて……。
世話を焼くのは嫌いじゃないが……。
襲われかけたということに頭に血が上っていたのに、さらに『抱いて』と言われてすっかり……翻弄された。
ここ最近意識を無くさせるほど激しく抱くことはしなかった。
「失敗した……」
セーブできなかった自分に腹が立つ。
温めたタオルを青白いままの初音の顔にあてる。
さっき初音の事務所には電話を入れた。
社長は陸也兄の級友だ。
今頃相手に伝わっている頃だろう。
「いっそ閉じ込めてしまいたい」
呟いて病んでいる自分に驚く。
ぐったりとしている初音の髪を梳いて額にキスをする。
「俺まで誘惑するのか……」
腕を取ってはめたままになっている時計を外して、2本揃えてサイドボードの上に置いた。
タオルケットを広げて初音にかける。
明日も買い物には行けそうに無いな。
初音の横に座って、髪を梳きながら寝顔を見つめる。
「……『抱いてほしい』なんて言うな……」
ため息を付いた。
(おわり)
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