『スマイル』での出会い

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 ポイントカードを落とした翌日、出社した藤井は仕事とは全く関係がないことで気分が重かった。  今日は何が何でも定時で仕事を終えて、真っすぐに『スマイル』へと寄るつもりだった。 落し物として、自分の『スニャイル・フレンドカード』が届いていればいいと思う。  いや――、是非とも届いていてほしい! 届いていないと困る‼  それ程までに藤井が思い詰めるのには理由があった。 『スニャイル・フレンドカード』を作って五年以上になるが、その間に、期限切れが迫るポイント以外は使ってこなかった。 『いつか』の機会にまとめて使うのを楽しみにして、手をつけないでいた。  ここ最近はクリスマスと年末年始のセールが立て続けに実施され、ポイント倍額の日も多かった。 ザッとだったが、万単位まで溜まっていた様に記憶していた。  もしかして、――もしかすると最低最悪の場合は、拾った誰かが自分になりすましてポイントで買い物をしているかも知れない。  心配のあまりに藤井は、『スマイル』の開店直後に来店出来るように半休を取ることまで考えた。 しかし、残念ながら仕事が押していて叶わなかった。
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