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土鍋を横目に見つつ、藤井はカレー粉とローリエの葉を食品用ポリ袋へと入れた。
カレー用の手羽元も入れ、臭み消しと風味付けの白ワインを振りかける。
料理を作る時の酒はワインにしろ日本酒にしろ、日々飲んでいるものから用いている。
キッチンシンクの下の貯蔵コーナーに調味料類があふれて煩雑にならない様にする、苦肉の策だった。
袋の口を縛り、カレー粉が手羽元に馴染む様に揉み込んで袋を平らに均したら、下ごしらえは終わりだ。
今日はもう、冷蔵庫で寝かせるだけだ。
明日、野菜類と一緒に炒めて煮込んでいけばいい。
玉ねぎ、人参、ジャガイモは必須だとしても、後は『何か』ないだろうか・・・・・・
スーパーマーケットに行けば、『何か』あるかも知れない。
そう藤井が思ったちょうどその時、間合いよくスマートフォンが音を立てた。
藤井はキッチンタイマーで知らされたかの如く、クツクツと煮え続けていた土鍋の火を消した。
コンロから下ろし鍋敷きを置いたシンクの上へと移して、保温用のカバーを被せておく。
こうしておけば後は予熱で自然と、手羽元はどんどん軟らかくなっていく。
最終的には箸で摘まみ上げるのが難しくなるくらいにだ。
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