『時間』も調味料の内

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 食べる時に白菜や長ネギや豆腐、エリンギやエノキ茸などの白いキノコ類を入れて煮る。 鶏手羽元と一緒に鶏ひき肉も安く手に入ったから、藤井はつくね団子も入れるつもりだった。  鍋は入れたい具材がどんどん増えていく、実に悩ましい料理だと思う。 一人暮らしだと飽きずに最後まで食べ切れる自信がなくて、今まで作れずにいた。  でも今日は、今夜は違う――。 一人じゃないから、最後の〆まで美味しく食べ切れるだろう。  案の定、スマートフォンには松島(まつしま)隆仁(りゅうじん)からメッセージが届いていた。 『スマイルにいる』 その後に続けざまに、猫だか狸だか曖昧な丸々とした小動物のスタンプが押されていた。 「あいつ・・・・・・HP(ホームページ)でわざわざ買ったのか」  おそらく値段的にほんの数百円程度だろうが、藤井には到底信じられなかった。  藤井のスマートフォンの画面上で「楽しみだよぉ~」と満面の笑みを浮かべているのは、猫。 ――いや、猫によく似た妖精だった。  名前は『スニャイル』  スーパーマーケット『スマイル』のマスコット、公式キャラクターだった。 『スマイル』店内に棲んでいて、年齢も性別も不明。
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