321人が本棚に入れています
本棚に追加
食べる時に白菜や長ネギや豆腐、エリンギやエノキ茸などの白いキノコ類を入れて煮る。
鶏手羽元と一緒に鶏ひき肉も安く手に入ったから、藤井はつくね団子も入れるつもりだった。
鍋は入れたい具材がどんどん増えていく、実に悩ましい料理だと思う。
一人暮らしだと飽きずに最後まで食べ切れる自信がなくて、今まで作れずにいた。
でも今日は、今夜は違う――。
一人じゃないから、最後の〆まで美味しく食べ切れるだろう。
案の定、スマートフォンには松島隆仁からメッセージが届いていた。
『スマイルにいる』
その後に続けざまに、猫だか狸だか曖昧な丸々とした小動物のスタンプが押されていた。
「あいつ・・・・・・HPでわざわざ買ったのか」
おそらく値段的にほんの数百円程度だろうが、藤井には到底信じられなかった。
藤井のスマートフォンの画面上で「楽しみだよぉ~」と満面の笑みを浮かべているのは、猫。
――いや、猫によく似た妖精だった。
名前は『スニャイル』
スーパーマーケット『スマイル』のマスコット、公式キャラクターだった。
『スマイル』店内に棲んでいて、年齢も性別も不明。
最初のコメントを投稿しよう!