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『スマイル』での出会い
『スマイル』は、藤井が住む部屋の最も近所に在るスーパーマーケットだ。23時まで営業をしているので、残業等で帰宅が遅い時にも立ち寄れて重宝していた。
ポイントがもらえるメンバーズカードの『スニャイル・フレンドカード』も作った。
月毎の『お買い得情報カレンダー』にも目を通していた。
ポイントが3倍、5倍とつくサービスデーを狙って、主に日持ちが利く品々を買い求めた。
そうやって地道に、せっせせっせとポイント、――その名も『ス・マイル』を貯めた。
その『スニャイル・フレンドカード』を藤井が落としたのは一ヶ月ほど前、年が変わって間もない頃だった。
その日も何時もと同じ様に会社帰りに『スマイル』へと寄って、そこでばったりと出会ったのだ。
出会ってしまったのだ、松島隆仁と――。
単なる偶然にしては、藤井にとって間合いが最悪だった。
残業の疲れから来る、一種独特なハイテンションだったのだろう。
つい、売り切り目的で投げ売り状態だった半額のお惣菜パックを、まるで親の仇の如く「これでもか!」とばかりに買い物カゴへと入れていた。
『投げ売り』に対して、『投げ入れ』で応じていた。
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