汗と自覚

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それを伝えると、なんだそれ、と彼はまた歯を見せて笑った。細めた彼の目の縁が、日光で照る。僕はベガを思った。彼を夜空に見るなら、間違いなく彼が一等星だ。 「ていうかさ、静井、全然汗かかないのな。」 「そうかな?」 「そうだよ。羨ましいな、俺超汗かくんよね。」 彼はそう言って短い黒髪をかきあげた。本当だ、汗で前髪が束になって、額にへばっている。それに対して、僕の前髪は夏の微妙なそよぎに浮ついた。 「でもさ、前に読んだことがあるんだけど。」 「へえ、なになに。」
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