汗と自覚

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「汗かかないのって、冷房で快適な温度になってる部屋にずっといるせいで、体温調節機能が衰えてるかららしいよ。」 「静井やばいじゃん。もっと外、出な?」 「ちょっと無理。」 眉をひそめて見せると、乾いた笑い声のあと、そうかあ、と彼は漏らした。ちょうど、会話の終わり際を察して、訪れる気まずい沈黙に、悪あがきをするように。 蝉の鳴き声ばかりが大きく聞こえる。当然だった。彼とは、文化祭の準備で同じ装飾の担当に当たって、初めて言葉を交わした。たった数日の仲である。
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