汗と自覚

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彼のこめかみから、曲線を描いて光が滑った。星が瞬くように不規則にきらめいていた。濡れた皮膚が真夏の陽の白い光を返して、あまりに強くぎらつくから、僕の目はくらんだ。光の粒は彼の顎を伝う。首筋まで、緩急をつけて流れていく。このまま滲むように下りていくかと思えたその時、彼が唾を飲み込んだのか、喉仏が揺れた。その拍子に、光は制服のシャツの襟に溶けてしまった。 僕の喉がごく、と鳴った。なんだ、これは。訳が分からない。なぜやたらと鼓動が近いのだろう。なぜむやみに顔が火照っているのだろう。なぜ、なぜ、なぜ__。
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