第一章 メデューサ少女との遭遇

2/9
6人が本棚に入れています
本棚に追加
/126ページ
「お久しぶりです。ブラネガさん」  同じく右手を差し出すニリーア。  ニリーアと握手をしながらも、ブラネガはやや真剣な表情となった。 「ニリーア。今回は、月の裏側のムーン・マイン・ベースでの共同開発プロジェクト参画に関わる最初のミーティングだが・・この1回目こそ重要になる!」 「・・・分かっています! ブラネガさん」  CEOとなって2年が経過したニリーアは少しは場数を踏んできたと見えたが・・・ 「ニリーアCEO。皆さん揃っています・・どうぞ」  COO(Chief Operations Officer)であるセリテアが会議室の扉を開いてニリーアを招いた。  人間のように見えるセリテアだが、その身体はピコ・ウィルス・マシーンで構成されたヒューマロイドである。  ただし、完全複製されたその身体の元は人間だったのであるが・・・ 「わかりました。セリテア」  未だにセリテアのことを頼りになるお姉さんだと感じているニリーアにとって、CEOと呼ばれることには大分違和感が残っていた。  ニリーアが先に会議室に入り、その後ろをセリテアとブラネガが続く。  会議室は薄紫で方形の部屋であったが、その中央に据え付けてある白銀色のテーブルは円形だった。  そのテーブルの一番奥の席に座る一人の少女の眼がニリーアの眼を捉えた。 「遅かったじゃないの? ニリーアCEO?」  ニリーアはハッとする───その少女は巨大企業レックロ・コーポレーションCEOの一人娘───ジルーナ・コーレン・レックロだった─── *** (あの眼だ! あの眼に、私は翻弄(ほんろう)されたのだ!)  落ちていくニリーアの脳裏に、メデューサのようなジルーナのアメジスト色の光が煌めいた! (?あ? あれは・・・!?)  ニリーアの下方の空間から白いスペーススーツの何者かが急速に近づいてくる───
/126ページ

最初のコメントを投稿しよう!