第一章 メデューサ少女との遭遇

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第一章 メデューサ少女との遭遇

 深く深く吸い込まれるような黒い全天、その全天に散りばめられた白く光る無数の銀河。  その眺望の中、遥か彼方に光る白い地平線──いや、この場合には月平線なのか?──にゆっくりと沈みゆく青いガラス玉のような地球───  そのただ中を、今、一人の若い女性が緩慢(かんまん)に落下していく─── (なぜ? なぜこうなったの?!・・私は何を間違ったの?!)  女性のダークブラウンの瞳の中に、レックロ・コーポレーションの月ステーション「レックロ・ハロー」の姿が映し出された。 (あそこ! あそこから私は落ちたのだ!)  まだ慣れていないハイパーフレキシブル・スペーススーツに身体を(よじ)る女性───そう、彼女の名はニリーア───若干19歳でニリーア・コーポレーションCEOとなった人物である。  次第に速度を増して月面へと落ちていく身体を持て余すようにニリーアは身体をローリングさせる。 (・・・あんな賭けをしなければ!!)  ───ニリーアの脳裏には2日前の情景が走馬灯のようにありありと浮かんきた。 ***  2日前、ニリーアは、ハイブラネ国と同盟国による共同ステーション「ルーナ・コラボベース」を訪問していた─── 「やあ。久しぶりだな。ニリーア」  そう言いながら右手を差し出したのは、ニリーア・コーポレーションの持ち株会社であるペコ・コーポレーションの役員の一人ブラネガ───彼は、3年前のコーザ・ギルドとの戦いの中でニリーアの命を2度も救った男である───
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