4人が本棚に入れています
本棚に追加
君の横顔が好きでただ見つめていた。
それが僕の1年前の恋だ。
──時は流れて今、僕は君の友達という存在として日常を作っていた。
好きな横顔も、弾けるような笑顔も、子供のようにはしゃいだ声も、隣で見聞きできるなんて1年前の僕からしたらものすごく贅沢なことである。
まあ、君と2人きりっていうわがままは未だ叶ってないけれど。
男女で仲良しの4人グループで放課後遊びに行ったり、授業の合間に話したり、喧嘩したり、女子2人に隠し事されたり、とにかくにぎやかで輝かしい青春そのものだった。
でも僕は、こんな日々なんか求めてなかった!!!!
それこそ1年前だ。進級する前。
君と話せるようになったきっかけになったあの日が分岐点だった。
もうすぐクラス替えがあること、すなわち君に話しかけるタイミングが今後もうないかもしれないことを悟ったと僕は秘めていたこの〝好き〟を伝えようと君に声をかけた。
その時初めて見た君の正面からの顔に僕は、喉に言葉が詰まって、君のその笑顔に固まってしまったんだ。
何度も頭で告白の想像していたのに、緊張が流れた指先を静かに握るだけだった──。
え? 結局どうしたかって?
そりゃ〝好き〟なんて言えなかったよ。
思ってたのと違かったっていうか、なんだろ。
「もうすぐ春が来るね」
彼女の言葉に全部溶かされたって言うのかな。
視線を窓に向ける彼女の仕草が綺麗で見蕩れすぎて告白なんて考えられる余裕がなかった。
今思えば彼女の言った春は、この日々のことを指しているのかもしれない。
透き通った恋心を青く反射する青春のことを。
でも本当は、君の友達になりたかったわけじゃないよ。君の特別になりたかったんだよ。
音にできない〝好き〟が僕の心から消えてくれない。
だから今、時に流されるままの僕は神様が微笑んでくれるのを待っているだけ。
それが意気地無しの僕の今の恋だ。
最初のコメントを投稿しよう!