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「水瀬は英語できる?」
「道案内程度です。西島先輩みたいに上手く話せません」
「英語大事だからな。そうだ、お守り作ろうか?」
「お守り?」
「ロッカーデコって知ってる?」
「ロッカーデコ?」
私は首を傾げる。
「自分のロッカーをデコレーションしてオシャレに可愛くするの。やってあげる。水瀬がロッカーを開けるたびに寂しがらないように」
「寂しい……」
何故……分かったのだろうか。
「水瀬はさ、どんなデザインが好き?」
「え? ええと……」
「何か好きなものは?」
尋ねられて答えられるか不安になりながらも私は小さく口にする。
「……青空が好きです」
「青空?」
「はい。光を身に纏って、自分らしい色を放って生きてる気がするんです。格好いいなって」
「……素敵な考え」
「……ありがとう、ございます」
褒められると思わなかったので、何だか照れくさい。
「じゃあ青空のイメージにする」
「でも西島先輩、飛行機の時間があるんじゃ……」
卒業式の日に、西島先輩はアメリカに旅立つと一ヶ月前から聞いていた。
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