29人が本棚に入れています
本棚に追加
「壁紙は青にするか」
「ロッカーに壁紙つけるんですね」
「うん、一気に変わるよ? あ、マスキングテープ買おう。小さな鏡とかつけちゃう?」
「はい」
「ペンたてとかホワイトボードもくっついてると嬉しいよね」
「できるんですか?」
「うん。両面の細長い磁石が売ってるからそれを貼ればできる」
「……凄い」
「本棚も入れる? スペース広くなったし」
「……そう、ですね」
『広くなった』に心が少しずきりとした。
「何かカスタマイズしたいのある?」
「カスタマイズ?」
「うん」
「……写真」
「写真?」
「あ、ロッカー扉の裏にクラスのみんなでとった写真とか……?」
こう言うときに二人きりの写真がいいとはなかなか言えない。
「ウッドクリップ買うか。他にも買おう」
「あ、西島先輩。お金は私が」
「俺が言い出したことだからいらない」
「でも……」
「大丈夫」
そうして買い出しが終わり、電車でまた学校まで戻る。門はすでに閉鎖されていたが先生に事情を伝えていたので、裏口のインターホンを押して、特別に教室に入れてもらった。
袋から出すのは私の役。
ロッカーに飾り付けるのは西島先輩の役。
西島先輩の飾りつけは一つ一つ丁寧な性格が出ていて、何一つ申し分がない。
買い出しも含めて二時間で、ロッカーデコは完成した。
最初のコメントを投稿しよう!