卒業ロッカーデコレーション

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 仕方なしに隣の教室のロッカーに教科書を移動しようとしていた西島先輩はきょとんとして私を見下ろす。  西島先輩と私の身長差は二十センチで、学年も一つ上で、これまでに挨拶程度しか話したことがなかったという圧に、私は少し縮こまる。でも、自分の気持ちを伝えてみようと思った。 「ロッカーの中、ちょうど真ん中の棚で区切られているじゃないですか。全部縦には入らないけど、私と西島先輩で上下で分ければぎりぎり教科書が二人分入ると思いません?」 「……でも俺、水瀬(みなせ)の邪魔にならない?」  眉を潜める西島先輩に、私は首を振る。 「私は教科書以外ロッカーに入れないので全然。学校にいる間、ロッカーは開けたままにしておいて、終わったら私が鍵を閉めて帰ります。……西島先輩さえ、よければ」  すると、隣の席に座っていた山下海(やましたかい)が口を尖らせた。 「でもロッカーにきちんと教科書入らないのって嫌だと思いません?」 
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