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海は三年前に私の近所に引っ越してきて以来よく話す年齢が一つ下の友人だ。私と視線が合ってるけど、今は妙な敬語を使ってるあたり、何だか西島先輩に言ってるみたいだ。何だか重たくなった雰囲気を立ちきろうと私は海に向かって小さく口を開く。
「あ、それなら私が隣の教室行こうかな?」
「遥、じゃんけんの意味ねーじゃんか」
「そ、そうだね……でも、私が代われば……」
「西島先輩と代わったら遥が困るだろ?」
「あ、私は別に……」
「遥は優しすぎる」
「う、うーん……」
海に対して次の言葉が出ない。すると、西島先輩は優しく私の顔を覗く。
「入れて、水瀬」
「あ……もちろん」
私はこくこくと頷く。
「え、遥のロッカーに入れるの?」
目をぱちくりさせる海をちらりと見て、西島先輩は微笑んで私に頷く。
「お邪魔します」
「ど、うぞ」
緊張で少し声がどもったが、西島先輩と無事ロッカーを共有することができた。
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