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高校生
中学生で傷ついた私は勉強や運動を頑張って頑張って、ほとんどの人が行かない高校に入学することが出来た。何もかもが嫌になってしまった私は中学の人と何が何でも離れたくて必死に頑張ったのだ。成果が出た時はホッとした。ただ、そこではやっぱり大体が友達と来ていたせいで最初から友達の居ない一人ぼっちだった。けど、もうそれでよかった。
女子が多いクラスだからきっともう失敗しない。
きっともう私は恋だのなんだの言わなくてすむ。
聞かれてもまだ誰もよく知らないからで通せばいい。
きっと今度は大事な友達を作って、楽しい学生生活を送れるハズ。
異性が近くにいなければ、好かれない空しさだって感じないはずだから。
そう思っていた私は、やっぱり甘かった。
元々の性格があるからか、兄のおかげで男子への抵抗感がなくなっていたのか、クラス全体が仲良しの雰囲気があったからか……という色んな運の良さが重なってしまって私に仲のいい男子が出来てしまった。
ゲーム、音楽、本と色んな方面で気が合うのが大きかった。
小学校や中学校でもここまでぴったり好きなものが合う人がいなかったのもあって私がすっかり彼に懐いてしまったのだ。
ただ、彼の容姿は非常に危なかった。
女装したら似合いそうな大きな目、いつもワックスで立たせているふわふわの茶色い髪、整った顔は可愛らしいともかっこいいとも言える親しみやすい――という、正直今まで見た中で完璧な容姿を持った男子だった。
村上充仁
それが、彼だった。
こういった男子と絡むと必ずトラブルが起こる。とくに女子の多いクラスの中で唯一のイケメン男子。そんな彼と一番仲良くなるだなんて……妬み嫉みの的になることは間違いなかった。トラブルを生みたくなくて女子の多いクラスに行った私は後悔しかけた、が。
意外にも、危惧していたことは一切起こらなかった。
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