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始まり
小学生の頃に誰が好きだとか嫌いだとかそう言う話がよく出ていた。高学年ぐらいになったら話していない子はいないんじゃないかなってくらいだったと思う。ただ、そんなことよりも皆でわいわい遊ぶ方が大好きだった私は好きだの恋だの気になってるだなどの話はちんぷんかんぷんだった。2つ年上の兄がいて、兄譲りの子どもっぽさというか『無邪気な男の子』という言葉が相応しい性格をしていたのもあるかもしれない。
そして何より、小学生の頃と言うのは興味のある子とない子は半々に別れていた。
私は興味のない子たちとのグループで遊んで――まぁ、それが主に男子だったことからある意味恋愛の興味は男女で別れていたともいえるが――ほぼ常に運動場で遊んでいた。ボールを投げたり蹴ったり思いっきり走り回ったり。遊ぶのは楽しい。馬鹿をしてふざけて笑って。そんな日々がかけがえのない宝物と言っていいくらい大事だった。
だけどそれは突然変化する
変化のない人生なんてないから
「ねぇ、好きな人は?」
下校準備をしている時。私に声をかけてきたのは運動向きではないフリルのついたスカートを可愛く着こなしたツインテールの女の子、東雲麗だった。結ぶヘアゴムにはジャングルジムで遊ぶには邪魔だろうなぁと思うぐらい大きい飾りがついていて、グループの女の子たちと「可愛い~!」と毎日はしゃぎ合ってはキャッキャと高い声を上げている女の子だ。何がそんなに嬉しくて面白いのかわからない会話をする女の子たち、というイメージがついていて後ろに家来のように立ちながらも何だか怒った顔で腕を組んだ女の子も3人いることに私はポカンとしているしかなかった。4人グループの彼女たちで麗がリーダーだろうことは誰が言わずとも見るに明らかだった。つまりは、麗が気になったから聞いてきたのかな?、と非常に楽観的な思考が浮かんだ鈍感な私は、基本男女分け隔てなく積極的に声をかけて遊ぼうとするタイプであったので「いっぱい遊んでくれる人!」と素直に答えた。
けれど返ってきたのは呆れ切ったため息だった。
「だから、好きな人は!」
「……?」
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