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「いまそのアダ名で呼ぶなや」
「何度でも呼ぶぞ、じゃがいも!」
オレはカチンと来て、立ち上がって、バターに詰め寄る。
「何じゃお前さっきから!」
迫るオレに対し、幼馴染は笑顔で
「俺と芸人やろうぜ!」
キラキラした目で言う。
「は?」
「いや、芸人だよ」
「ざけんなコラっ!」
「お前の面白さは俺がよく知ってる!」
「あのなぁ」
「コンビ名はバターとじゃがいもで【じゃがバター】っ、これで決定!」
「勝手に決めんなおめえ、殴るぞ」
「そこは溶かすって言え。バターだけにね!」
「やかましいわ!」
そこからバターによる説得が始まる。
「カクカクシカジカ、ツクツクボウシウホウホって理由で絶対俺達なら天下とれる!」
「天下とってどうすんだ」
「見返すんだよ」
「誰を?」
「メロンちゃんをだよ!」
オレは目を丸くする。
「ハア!?」
「だがら、売れて金持ちになって、“ああ〜んあの時じゃがいもと付き合って結婚しておけばよかったわぁ〜ん”って思わせるんだ!」
暴論だ。
だがこのときのオレは頭がイカれていた。
「そっ、それだー!!」
「それだろおまえそれだろ!?」
「じゃがいもたるオレが美人を見返すにゃそれしかねぇ!!」
ウオオオー、と月へ咆哮する。
その瞳はヤル気の炎で燃えており、パラパラチャーハンが作れるのではないかというくらいに火力が高い。
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